
「最近、老眼が気になる・・・」という方も多いのではないでしょうか。
今回は、レーシック手術で、老眼治療ができるのか?
もしできるとしたら値段はいくらくいなのか?
など1つ1つ見ていきましょう。
まずはレーシック手術に関する説明からさせていただきます。
目次
レーシック手術とは?
外から入ってきた光は角膜で屈折され目の中に取り込まれ、水晶体と呼ばれている目の中のレンズでさらに屈折され網膜にピントを合わせます。これがものが見える仕組みになります。
角膜はこのように光を眼の中に取り込む重要な役割を果たしており、眼球全体の屈折力の2/3は角膜が占めています。
レーシック手術とは、この強い屈折力を持つ角膜を、特殊なレーザーで削り屈折力を変化させることで近視・遠視・乱視などを矯正する方法で、屈折矯正手術や視力回復手術とも言われています。
フラップと呼ばれるフタを作るのがレーシックの特徴で、フタをめくってレーザーを角膜に照射し削っていきます。日帰りで短時間で近視や遠視・乱視が矯正できることも、レーシックの人気の理由の一つです。
老眼になるメカニズム
近視の人でも必ず老眼になるって本当?
近視の人は老眼にはならないとよく言いますが、これは誤解で実は近視の人でも必ず老眼になります。
外からの光が屈折され網膜上でピントが合っている状態を正視、網膜よりも前でピントを合わせている状態を近視、網膜よりも後ろでピントを合わせている状態が遠視になります。
通常正視の人が近くを見る時は、調節力を使って水晶体の厚みを変え近くにピントを合わせています。
しかし40歳を過ぎると老化現象によりこの調節力が少しずつ低下していくため近くにピントが合いにくくなり、近くが見えにくい・ピントが合いにくいという症状が現れます。これが老眼のメカニズムになります。
つまり老眼は元々持っていた調節力の低下が原因で起こるのです。
近視は網膜よりも前でピントが合っているため、遠くは見えにくいけれど近くは不自由なく見えるという目になります。そのため老眼世代になり調節力が低下しても、元々近くが見える目のため老眼にはならないと勘違いされているのです。
老眼のサインとは?
近視で眼鏡をかけている年配の人が、新聞や本などを読む時に眼鏡を上にズラして見ているのを目にしたことがありませんか?
あれは眼鏡をかけている時は遠くにピントがあっているいわゆる正視状態になっているため、眼鏡越しだと老眼で近くにピントが合わず見えにくいため眼鏡をズラして見ているのです。
つまり近視の人が眼鏡やコンタクトレンズをして近くを見た時に見えにくい・眼鏡やコンタクトレンズを外すと近くが見えやすいというようならばそれはまさに老眼のサインなのです。
一方遠視は網膜よりも後ろにピントが合っている目になるため、遠くを見る時は網膜上にピントが合うように常に調節力を使っている状態になります。さらに近くを見る時はそれ以上の調節力が必要になるため、とても疲れる目だといえます。
若い頃は遠くが良く見えていたのに、40歳過ぎて遠くの視力が落ちたという人がよくいます。
これは元々遠視があったけれど調節力でカバーしていたため気づかなかっただけで、老眼になり調節力が低下したために遠くにも近くにもピントが合わせられなくなったからになります。
近視や遠視はピントを合わせる位置が違う屈折異常なのに対して、老眼は調節力が低下する調節異常になり、全くの別物になるということを覚えておきましょう。
レーシック手術で老眼は治療できない
視力が悪い人は眼鏡やコンタクトレンズがいらない生活に憧れを感じます。
コンタクトレンズは運動する時など眼鏡に比べると確かに便利ですが、目の中に直接入れるものなので何かとトラブルも付きまといます。
そのためコンタクトレンズを使用していても万が一の為に眼鏡は必ず必要になるのです。
レーシック手術をすることでそんなわずらわしい眼鏡がいらなくなるので、目の悪い人にとってレーシックはまさに人生を変える手術と言っても過言ではありません。
しかしレーシック手術を受ける際に必ず考えておかなければならないのが老眼についてです。
先程述べたように老眼は老化現象による調節力の低下が原因なので避けては通れない道になります。
もちろんそれはレーシック手術を行った人も例外ではありません。
レーシックで遠くが見えるようになったということは遠くにピントが合っている状態になります。
遠くにピントが合っているため、40歳を過ぎて調節力が低下してくると近くが見えにくい老眼の症状が現れてきます。
レーシックは角膜を削り屈折力を変えているだけなので調節力の低下の老眼は治療できないのです。
つまりレーシックをして眼鏡がいらない生活になっても、老眼世代になると老眼鏡が必要になってくるのです。
そのため40代の人がレーシックの手術を受ける際は老眼との兼ね合いもあり注意が必要です。
流行りや勢いで手術を軽く決断するのではなく、遠くが見えるようになるメリットもあれば、近くが見えにくくなるというデメリットもあるということをしっかりと理解した上で、手術を受けるかどうか考えることが大切です。
老眼治療の方法
老眼は初期のうちは近くにすぐにピントが合わない・何となくぼやけるという程度ですが、年齢を重ねるにつれてその症状はどんどん進行していきます。
生活する上では車の運転などもあり遠くが良く見えることが優先されがちですが、パソコン・スマートフォンなど現代人は近くの作業も増えており、また料理や読書など近くが見えにくいと想像以上に不便を感じるものです。
そんな老眼に対する治療法も最近ではいろいろと出てきています。
しかし老眼治療を行える施設が少ない・レーシックと同じく自由診療になるため健康保険が適用されないなどの点もあり、老眼治療はレーシックに比べてもまだまだ認知度は低いというのが現状です。
そんな老眼治療にはいくつかの方法があります。それぞれについて説明していきます。
老眼治療方法1:モノビジョン・レーシック
眼鏡でもコンタクトレンズでも遠くの視力は左右差が出ないように同じ様な見え方で合わせるのが普通ですが、片目は遠くをよく見えるように、もう片目は逆に近くをよく見えるようにわざと左右差をつけて合わせるという方法があります。
このような左右で見え方を逆に合わせる方法をモノビジョンといいます。
一見すると視力に左右差があり過ぎて気持ちが悪くなるのではないかと思う人もいるかもしれませんが、次第に脳が見え方に慣れてきて遠くと近くで目を使い分けて見るようになってきます。
コンタクトレンズを合わせる際の老眼対策としてもこのモノビジョンはよく取り入れられていますが、レーシックでの老眼治療としてモノビジョン・レーシックも行われています。
角膜を削って屈折力を変える時に左右に視力の差が出るように削ることでモノビジョンの状態を作り出します。
しばらくは左右差に慣れずに違和感を感じることもあるかもしれませんが、脳がその状態に慣れてしまえば遠くも近くも眼鏡なしで見える便利な見え方になります。
ただ両目で遠くをしっかりと見えるように合わせてあった時と比べると、遠くの見え方は多少低下するので、ある程度の妥協も必要です。
老眼治療方法2:アキュフォーカス
針穴など小さな穴をのぞいた時に、普段見にくいはずの遠くや近くがよく見えたという経験をしたことはありませんか?
これは「ピンホール効果」や「ピンホール現象」といい、光が小さな穴に集まって目の中に入ってくるため、焦点深度が深くなりピントが合いやすくなるのです。
視力の悪い人は目を細めるとよく見えるようになりますが、目を細めることで目の中に入ってくる光を集めているピンホール効果によるものです。
アキュフォーカスはこのピンホール効果を利用した老眼治療のことで、中心に小さな穴が開いているドーナツ状のリングを片目の角膜に挿入することで近くの見え方が改善します。
カメラインレーやリーディングアイなどとも呼ばれています。
角膜内にリングを挿入するため、視界が多少暗くなる・夜の視力が落ちるなどのデメリットはありますが、使用して都合が悪ければリングの取り出しも可能です。
老眼治療方法3:プレスビーマックス・ハイブレッド
遠近両用の眼鏡は見た目は普通の眼鏡ですが、レンズの上から真ん中には遠くの度数が、レンズの下の方には近くの度数が入っており、さらに自然に見えるように遠くと近くの度数の境目には中間度数が入っています。
そのため遠く・中間・近くが違和感なく見えるようになります。
この仕組みを老眼治療に取り入れたのがプレスビーマックス・ハイブリットで、遠近両用レーシックなどとも呼ばれています。
このプレスビーマックス・ハイブリットはエキシマレーザーの新世代機種「アマリス」に搭載されている遠近両用プログラムで、毎秒1050回目の動きをスキャニングするためより正確な照射が可能で、安全性と正確性に優れています。
老眼治療にかかる費用
若い頃は当たり前のように見えていた近くが見えにくくなるのは、周りが思っている以上に不便でストレスがかかるものです。
今まで遠くがよく見えるようになることだけを重視していたけれど、老眼になって初めて近くが見えることの重要性に気がついたという声もよく聞きます。
老眼治療はそんな老眼に悩む人達から注目を集めていますが、気になるのが治療にかかる費用です。
老眼治療はレーシックなど屈折矯正手術と同じで自由診療という扱いになるため、健康保険が使えません。
そのため同じ手術でも使用する機器やレーザーの種類などによって施設ごとに老眼治療にかかる費用が変わってきますが、両目で20~50万というのが相場のようです。
健康保険は適用されませんが、確定申告で医療費控除として申請することができます。
また加入している生命保険によっては給付金対象となる場合もあるので、老眼治療を受ける時には生命保険の内容もしっかりと確認しておきましょう。
老眼治療の際は病院でまずは相談を
目の度数やカーブ・角膜の厚みは1人1人違います。
また老眼治療を受ける年齢も人それぞれなので、中には目の中の水晶体というレンズが濁ってしまう白内障になってしまっている人もいます。
白内障がある場合は老眼治療よりもまず白内障の治療が優先されます。
高齢化社会になり老眼治療の関心は年々高まっています。
興味本位で手術を受けて後から後悔しないように、どの方法が自分の目に合っているのかまずは病院で医師とじっくりと相談をして、理解・納得した上で手術を受けることをおすすめします。